【技術ブログ】検証シリーズ第1弾 ~市販のマットスイッチで在席を見える化~
「人が座っているか知りたい」「設備の状態を離れた場所から確認したい」——そんなとき、センサーまでの配線工事が課題になることはありませんか?
今回は、BLE接点入力センサー「iBS08AD-D」に市販のマットスイッチを接続し、人がマットを踏んだことを無線で検知できるか検証しました。
実際の接続方法から、受信データの読み方、検証で分かったこと、実用化に向けた注意点まで、具体的なデータとともにご紹介します。
既存の接点を活用して無線化を検討している方や、センサーの新しい使い方を探している方は、ぜひ参考にしてください。
本記事は、iBS08AD-Dの接点入力の動作を確認するための社内検証の記録です。
検証に使用したマットについて、製品の性能や耐久性を保証するものではありません。
実際の導入にあたっては、使用環境に合わせて改めて評価してください。
準備物
特別な工具は使っていません。はんだ付けも不要です。
| 準備物(★は必須) | 用途 |
|---|---|
| iBS08AD-D(BLEデジタル入力センサー)★ | マットのON/OFFを無線で送信 |
| 市販の圧力マット(230×160mm、踏むと導通する無電圧接点)★ | 乗ったことを検知 |
| iGS03W(BLEゲートウェイ) | センサーの電波を受信 |
| テスター | マットの線の導通確認 |
| ワイヤーストリッパー | 線の被覆をむく |
| 精密マイナスドライバー、ビニールテープ | 端子台の固定、絶縁 |

つなぎ方
iBS08AD-Dのケーブルの先には、+と−の2極のネジ式端子台が付いています。無電圧接点(ドライ接点)に対応しているので、マットの2本の線をそのまま差し込むだけです。
- 手順1:センサー単体の動作確認:端子台の+端子と-端子を短絡させ、入力がONになることを確認します。短絡を解除したときにOFFへ戻ることも確認します。
- 手順2:マットスイッチの動作確認:テスターで導通を確認し、マットを踏んでいない状態と踏んだ状態で、導通の有無が切り替わることを確認します。
- 手順3:センサーへの接続:電線の被覆を剥き、2本の線を端子台に接続します。
- 手順4:無線受信の確認:iGS03Wの設定画面から、マットの状態に応じてセンサーのデータが変化することを確認します。

受信の確認方法
受信は、BLEゲートウェイiGS03WのWeb設定画面で確認しました。
PCをゲートウェイのWi-Fi APに接続し、Webブラウザで設定画面(「DIAGNOSTIC」タブ)を開くと、
直近100件分の受信したビーコンのデータを見ることができます。
サーバーを用意しなくても、その場で動作を確かめられます。

1行は「受信時刻,センサーのMACアドレス,電波強度(RSSI),生データ」の形です。
※センサーの送信間隔は初期値の30秒のままで検証しました。
生データの読み方
マットに乗っているかどうかは、生データの23〜24文字目で分かります。下はマットに乗っているときの例です。
0201061AFF2C0888BC 3F01 40 AAAA 6200 0000000000000000000275520C0900
電池 状態 カウント
| 項目 | 位置(文字目) | 読み方 |
|---|---|---|
| 電池電圧 | 19〜22 | リトルエンディアン方式の16進数。 例)3F01 → 0x013F = 319 → 3.19V |
| 入力の状態 | 23〜24 | 40 = ON(乗っている)、00 = OFF(乗っていない) |
| カウント | 29〜32 | リトルエンディアン方式の16進数。 入力がONになるたびに1ずつ増える |
入力の状態は定期送信(30秒おき)のデータにも含まれるので、乗っている間はずっと40が届きます。上記の読み方は今回の検証で確認した内容です。
検証結果
結果は想像以上でした。送信間隔は30秒に設定していたのに、マットを踏んだ瞬間にデータが届きます。iBS08AD-Dは入力が変わったタイミングですぐに送信してくれるため、反映は0〜1秒。短い踏み込みも取りこぼしませんでした。
| 確認したこと | やり方 | 結果 |
|---|---|---|
| 乗ったときの反映 | 1分おきに座る・立つを繰り返す | 毎回0〜1秒でON |
| 降りたときの反映 | 同上 | 毎回0〜1秒でOFF |
| 乗り続けたとき | 20分間座り続ける | 定期送信はすべてONを維持 |
| 短い踏み込み | 10秒ごとに2秒だけ踏む(12回) | 12回すべて、踏む・離すの両方を検知 |
| 乗る位置 | マットの中央・端を押す | スイッチの入っている部分は指一1本でも反応。端の溶着部は反応しない |
| 物を置いたとき | 約2kgのクッションを置く | 反応しない |
実際のログも少しお見せします。10秒ごとに、2秒だけ踏んで離すを繰り返したときのものです(古い順。同じ内容の重複行は省いています)。生データの中の状態の2文字が、踏むと40、離すと00に切り替わっているのが分かります。
13:20:00,2CD3AD0B0275,-49,0201061AFF2C0888BC3F0140AAAA9B0000000000000000000275520C0900 ← 踏む
13:20:03,2CD3AD0B0275,-51,0201061AFF2C0888BC3F0100AAAA9D0000000000000000000275520C0900 ← 離す
13:20:10,2CD3AD0B0275,-47,0201061AFF2C0888BC3F0140AAAA9E0000000000000000000275520C0900 ← 踏む
13:20:13,2CD3AD0B0275,-49,0201061AFF2C0888BC3F0100AAAA9E0000000000000000000275520C0900 ← 離す
13:20:20,2CD3AD0B0275,-51,0201061AFF2C0888BC3F0140AAAA9F0000000000000000000275520C0900 ← 踏む
13:20:24,2CD3AD0B0275,-49,0201061AFF2C0888BC3F0100AAAA9F0000000000000000000275520C0900 ← 離す
踏んだ秒と離した秒が、そのまま受信時刻に現れています。乗っていた時間(ここでは2〜4秒)も、ログから読み取れます。マットは重さではなく、力が集中する「圧力」で反応するようです。人の足や座る動作には反応し、広い面で載る軽い物では反応しないので、荷物などによる誤検知には強いといえます。
実用に向けての課題点
手軽に動いた一方で、実際の現場で使うなら押さえておきたいポイントも見えてきました。
- 接続部の保護:今回はマットの細い線を端子台にネジで留めているだけです。座る場所に置くと、ケーブルの長さや取り回しによっては引っ張られ、線が外れたり接続部が破損したりするおそれがあります。実用するには、端子台をケースで覆う、ケーブルを固定するなどの保護が必要です。端子台部分は防水ではない点にも注意が必要です。
- チャタリング(接点のバタつき):座る・立つ・姿勢を変える瞬間に、接点が細かくON/OFFを繰り返すことがありました。カウントはその分も数えるため、人数や回数としてはそのまま使えません。回数を数える場合は、「数秒同じ状態が続いたら確定」といった処理を受信側で行います。
- 電池への影響:入力が変化するたびに即時送信するため、人の乗り降りが多い場所では、定期送信だけの場合より電池の消耗が大きくなります。
- 受信漏れ:20分間で定期送信40回のうち2回を受信できませんでした。
- 【受信漏れの対策】無線通信では、すべての送信データを必ず受信できるとは限りません。そのため、受信したデータだけをもとに状態を判断する場合は、受信できなかった際の動作も考慮する必要があります。例えば、直近の受信データをもとに状態を管理する方法や、一定時間データを受信できなかった場合に、状態が不明であることを通知する方法などが考えられます。実際の運用では、必要な検知頻度や許容できる受信漏れの程度に応じて、受信側の処理を設計することが重要です。
こんな使い方もできそう
iBS08AD-Dは、マットに限らず「つながる/つながらない」を出すものなら何でも無線化できます。配線工事なしで後付けできるので、
「ここに人がいるか知りたい」「あの設備が止まったらすぐ知りたい」「マーケティング用に利用回数データが欲しい」といったアイデアを、思い立ったその日に試せます。
- 在席・持ち場の確認:イスや作業位置にマットを置き、利用時間を記録
- 立ち止まりの計測:サイネージや展示什器の前に置き、一定時間以上乗っていた人を「立ち止まり」、短いものを「通過」として数える
- 設備の稼働・異常の検知:設備の「運転中」「異常」の無電圧接点出力につなぎ、停止を通知
まとめ
今回は、BLE接点入力センサー「iBS08AD-D」に市販のマットスイッチを接続し、人がマットを踏んだことを無線で検知できるか検証しました。
その結果、今回使用したマットでは、踏む・離す動作に応じて入力状態が切り替わり、その変化をBLEゲートウェイで受信できることを確認しました。
iBS08AD-Dは、マットスイッチだけでなく、無電圧接点のON/OFFを取得したいさまざまな用途で活用できる可能性があります。
一方、実際の運用では、接続部の保護、チャタリングへの対応、電池寿命、通信状態に応じた処理などを考慮する必要があります。
「既存設備の状態を無線で取得したい」「配線工事を抑えてセンサーを追加したい」といった課題がありましたら、ぜひご相談ください。
今回のような検証を通じて、お客様の用途に合った活用方法をご一緒に検討します。
評価機の無償貸し出しも行っていますので、お問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

